疎開
疎開 - (急)
3ターン休み。ここどこ。
作者:ぜっとん
カード講評
3ターン休み、という単純ながら非常に大きな影響を及ぼす効果を持つ。
まず、「3ターン休み」とは実際にどういう処理を行うのかを考えたい。
1.誰が休むのか
普通に考えれば、発動したプレイヤーがターンを休むのであろう。
しかし、すごろくのマス効果をモチーフにしたと考えれば、伏せ状態であったときにこのカードを効果対象としたプレイヤーに効果を及ぼすということも考えられるであろう。
また、後述するが、両者が効果対象となることも考えられる。
2.「3ターン」のカウント方法
次の3パターンが考えられる。
・効果対象がターンを3回休む。
・発動ターンから発動者→対戦者→発動者の順でターンを休む。
・発動した次のターンから対戦者→発動者→対戦者の順でターンを休む。
3番目は不自然に思うかもしれないが、カードを発動している以上、そのターンを直後からスキップしても「ターンを休む」とは言えない可能性があるからである。
3.「ターンを休む」とは?
まず考えられるのは、ターンを丸ごとスキップするという意味である。
一方、スキップする、ではなく、休む、と書かれていることから、プレイヤーの能動的な操作だけをスキップする、という解釈も成り立つ。
つまり、3ターン分ドローだけはできたり、『天井のしみ』にカウンターを載せることができる可能性がある。
このように非常に解釈に幅のあるカードであり、意図する発動タイミングの前に発動しておき、うまく処理について言いくるめてしまう交渉術が要求される。
また、このカードには大きな疑問がある。「ここどこ。」が何を意味しているかである。
「3ターン休み。」という文と同じ枠に、同じ大きさで、同じフォントで書かれているため、フレーバーテキストではなく効果説明の文であると思われる。
ここどこ。
一つの可能性として、なんらかのキーワード能力であると言うことが考えられる。
MtGやDMに見られる、規定の処理を1ワードで表現するものである。
この場合、ここどこ。の処理については作者のぜっとん氏に委ねられる。
もう一つの可能性としては、仮名書き・変形TDN表記・訛りがある。
例えば、「ここどこ」は「この場所は何処か」ではなく、「高硬度鋼」や「高校どうこう」といった内容を示していると解釈することができる。
この「ここどこ。」に対してどのような意味を見出すかが今日カープレイヤーの腕の見せ所と言えるかもしれない。
対戦考察
上述したように、非常に解釈の幅があるカードである。
ターンスキップ系カードなので、『クミトッテ姫』や『竜頭蛇尾』などのテンポラリー効果に対して活躍が期待できる。
『クミトッテライブラリアウト』型のデッキにとっては脅威である。
特に重要なのは、『究極龍』発動時『疎開』を発動すれば、相手の追加ターンがスキップされ、そのままエクストラウィンを得ることができる点である。
『極龍』→『究極龍』→『なまこ』のコンボによるエクストラウィンは未だに環境であり、これに対して一枚で勝利を奪える『疎開』はデッキに1枚入れておくと安心材料になるだろう。
自カードとのシナジーを考えると、やはり『天井のしみ』が第一候補だろう。
何もできないまま、裏向きのカードの上にカウンターが盛られていくのを見る相手の不安は想像を絶するものがある。
また、『単語覚えたて戦士 ゆうや』と同時に発動できれば、3ターン分の即死効果が保証される。スペルオンリー型のデッキがビートダウンに対抗する良い手段である。
総評
カード評価ー★★★★☆
現在の今日カーでは、カードプールにターン経過を利用するカードが少ないため、やや扱いにくいカード。
しかし、『究極なまこエクストラウィン』や『クミトッテライブラリアウト』など、環境のデッキに1枚で対抗できるため、その価値はかなり高い。
デッキに隙間があればまず投入を検討するべきカードの一つである。
カード考察
そ‐かい【疎開】
[名](スル)
1 空襲・火災などによる損害を少なくするため、都市などに集中している住民や建物を地方に分散すること。「工場を疎開 する」「学童疎開 」「強制疎開 」
するとこのカードには疑問が生じる。別に連れ去られたわけでもないのに、「ここどこ。」と現在地が分かっていないのはおかしな話である。
このカードの名称は「拉致」でなければならない。
しかし、カードイラストに描かれた男性(多分)は自信に満ちた笑顔を浮かべており、おそらく自分の意思でこの場所へ来たのであろう。
カードの属性が「急」であることから、この男性はあまり準備期間が無いまま、この田んぼのある田舎へ疎開してきたと考えられる。そして、ここならば空襲されることはない、一安心だ、として笑みを浮かべているのだ。
一方、一見するとのどかな田園風景であるが、よくよく見ればこの背景には不可解な点も多い。
まず背景が一面の鉛色である。また、一直線の田んぼ、その左側には川と土手とも、海と砂浜ともつかぬ地形が見て取れる。
おそらくこの男性は、よく調べずに、とりあえず田舎だから、とこの場所へ疎開を決めたのだろう。しかし、あたりを歩いてみれば、不条理な光景がそこかしこに見られる。
ここは俺の思ったようなところではない、一体この場所はなんなんだ。
「ここどこ。」とは、そのような不安からこぼれた恐怖心の表れであると考えられる。